労働人口減少対策のDX推進や働き方の多様化が進んだコロナ禍において、コンタクトセンター領域ではデジタルシフトの「効果がでていない」「効果があったかわからない」というケースや、情報セキュリティ・マネジメント・コスト等の問題で「在宅シフトの継続が困難」というケースが存在します。その原因のひとつには、本来の目的にあった「労働力確保」と「CX向上」をコロナ禍への「BCP対策」としてパッチワーク的に実施したために、抜本的な改革に至らなかったことが挙げられます。
本ニュースでは、2021年11月16日にKDDIエボルバとモビルス社が開催したオンラインセミナー『2025年・2030年問題に対応したデジタルシフトと在宅シフト』より、コンタクトセンター再構築とセキュアなノンボイス運用について解説したデジタルシフト・在宅シフトとの付き合い方・考え方・ポイントの一部をレポートします。
2030年問題が迫る今、コンタクトセンターは、労働力の確保と生産性の向上が急務であり、同時に、飛躍的に前進した顧客体験価値をさらに向上させるカスタマーサポートの高度化と多様化に取組む必要があります。大切なのは、見据えるべき脅威は「就労人口減」と「CX・DX潮流」と理解し、その打ち手になる手段の中の選択肢としてデジタルシフトと在宅シフトが存在すると捉えることです(図1)。
(図1)「問題」を正しく把握する~在宅化」ありきではなく、見据えるべき脅威
■遠回りに見えて実は近道「STPDフレームで筋道を組む再構築」
昨今のコンタクトセンターの運用面の不具合の原因としてよく見られるのが、システムや在宅を既存運用に建て増し続けるということがあります。デジタルシフトと在宅シフトを考えるとき、お客様に提供すべき機能を整理してカスタマーサポートを「再構築」することが遠回りに見えて実は近道になります。
セミナーでは、再構築への筋道をSTPDのフレームで解説しました。「See:現状を正しく捉える」「Think:コンセプトを描く」「Plan:コンセプトを計画化する」「Do:計画を実行する」の内、「S」「T」が欠落すると「労働力の確保」と「CX向上」という本来目的を見失ってしまい、手段としてのデジタルシフトと在宅シフトに失敗する要因になります。
- Seeのポイント:「ユーザーが期待していること」、「ユーザーの問合せ導線」、「それを企業側でどのように解消しているか」という視点でしっかりと調査、把握する
- Thinkのポイント:「ユーザーに対してどんなサービスを提供すべきか」という観点を材料にして、コンセプトを具現化し、サポート体制を抜本的に改革する絵を描く
例えば、「人が電話で対応して、個人情報を閲覧しなければならない業務なのか」という観点で整理すると、「従来通り高セキュリティでオペレーターが懇切丁寧に対応しなくてもよい業務」を切り出すことができます。その場合、セキュリティに対する要求やリスクが下がってロケーションが開放されるため、労働人口確保のための在宅やシェアオフィスの活用、デジタル化にロジックが続くことで、初めて「在宅」や「シェアオフィス」といった考え方が現実的・効果的になります(図2)。
(図2)「対策」の筋道を立てる~現状把握を起点としたプロセス(SとT)
このSTPDフレームでのアセスメントについて、セミナーでは「脱・電話を目指したコンタクトセンター」「脱・オフィスを目指したコンタクトセンター」の2社事例を紹介し、STPDの各ステップで実践した取組みを具体的に解説しました。
本ニュースでは、KDDIエボルバ講演のポイントを絞ってレポートしましたが、公開中のセミナー本編の動画と資料より、詳細を確認いただけます。また、モビルス社の「在宅オペレーションを視野に入れたDX戦略」講演も視聴いただけますので、ぜひご活用ください。
方法論や仕組みは理解しても自社での実践が難しいケースも多くございます。KDDIエボルバではアセスメント・コンサルティングサービスで業種業界を問わずあらゆる企業様のコンタクトセンターの課題・問題点の抽出から改善施策の提案、在宅コールセンターやオムニチャネルソリューションによる運用まで幅広くお手伝いいたします。お気軽にご相談ください。
- 本リリース本文中の製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です。