はじめに
はじめまして。エンジニアブログをご覧いただき、ありがとうございます。
中途入社4年目、CX²-IT事業統括本部 NIユニット所属の境谷です。
私の所属する部署では、ネットワーク機器やゼロトラスト製品の導入業務を行っています。
現在はネットワーク案件を中心に担当していますが、これまでにCato Cloudを利用したゼロトラスト案件にも
携わってきました。 今回は、こうした案件に共通して重要となるQoSについて、分かりやすくご紹介します。
QoSとは
QoS(Quality of Service)とは、通信の品質を保証するための技術を指します。
わかりやすく言い換えると、「重要な通信を特別扱いしたり、不足する分の帯域を広げたりすることで、
重要な通信に遅延を発生させない仕組み」といったイメージです。
同じネットワーク回線には、Webの閲覧、メール、ファイル送信、Web会議、電話など、さまざまな通信が
同時に流れています。利用が集中すると、通信が遅くなったり、音声や映像が途切れたりすることがあります。
通信に重要度の違いをつけ、リアルタイム性が求められる音声・映像や基幹システムなどは優先して
通すことで、必要な通信を安定して使えるようにします。
QoSの代表的な手法
QoSを実現する手法は、設定するネットワーク機器のベンダーにより多少異なりますが、代表的なものとして「帯域制御(IntServ)」と「優先制御(DiffServ)」があります。
これらは、QoSに対応しているルーターやスイッチなどのネットワーク機器で設定します。
なお、QoSが実装されていない場合は、原則「ベストエフォート型」となり、
パケットの到着順に処理されます。ベストエフォート型では、ネットワークが混雑すると機器の
バッファでパケットを保持する時間が長くなり(遅延)、さらに混雑して保持できなくなると
破棄される(パケットドロップ)という流れが一般的です。
- 帯域制御(IntServ)
帯域制御は、特定の通信が利用する帯域幅を指定する制御手法です。
主に下限値を指定する帯域保証と、上限値を指定する帯域制限の2種類があります。
たとえば基幹システムには帯域保証を適用し、Web閲覧には帯域制限を設定します。
- 優先制御(DiffServ)
優先制御は、データの種類や優先度に応じて伝送の順番を決める制御手法です。
たとえば、Web会議やIP電話など遅延が許されない通信を最優先し、メールやファイル転送は
後回しにします。この方式の利点は、優先度の高いデータを遅延なく伝送できる点です。
ネットワーク機器はデータに付与された優先度マーク(ToS/DSCP値)を読み取って処理します。
検証してみた
今回は、タイトルの内容「優先通信は本当に守られるのか?」を確認するため、
意図的にトラフィックを混雑させた状態を作り、通信の挙動を検証してみました。
検証概要
下図の通り、複数種類のトラフィックを同時に発生させ、それぞれに異なるラベル(IP Precedence)を付与した
トラフィックを、ルータに流し込みます。ルータには、①②のQoS設定を投入し、帯域制御を実装しています。
- QoS設定① QUEUE1:IP Precedence 5のラベルがついたトラフィックに60%の帯域を確保。
- QoS設定② QUEUE2:QUEUE3:QUEUE4 = 2:1:1の割合で、残った帯域を分け合う。
| ※Cisco Catalyst9300シリーズの機器で検証を実施 |

【検証結果】
検証の結果、以下の通りとなりました。

IP Precedence5のラベルがついた通信(QUEUE1)が 、帯域の約60% を使用。
残りの帯域を、以下の比率で使用しています。
QUEUE2:約20%
QUEUE3:約10%
QUEUE4:約10%
実測結果は、事前に想定していた、
「特定通信が帯域を確保し、残りの帯域を2:1:1で分配する」動作と一致しており、
QoS制御が設計どおりに機能していることが確認できました。
おわりに
今回はQoSについて、基本的な考え方から検証結果までをご紹介しました。
動画配信やクラウドサービス、Web会議が当たり前となった今、ネットワークの通信品質は、
業務の効率やユーザー体験に大きく影響します。
QoSは非常に奥が深く、今回紹介した内容はその一部に過ぎませんが、本記事がQoSを
理解するきっかけになれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

