アルティウスリンクの東京(新宿エリア)にある拠点「事務サポートユニット」では、2021年から公益財団法人 東京しごと財団より障がい者雇用に先進的に取り組んでいる企業としてオファーいただき「企業見学会」を開催しています。
これから障がい者雇用に取り組む企業や団体に向けて、職場見学や取り組み事例をお伝えし、障がい者雇用のイメージをつかんでいただくことを目的に、これまで120社以上の企業のご担当者様にご来社いただいています。
本ブログでは、会の最後に行った質疑応答からいただいたご質問について紹介します。
■ 新規採用や就業の継続など採用に関するご質問
Q. 採用面接は定期的に開催されていますか?
A. 事務サポートユニットでは現在の採用は欠員募集のみで、春採用などは特に行っていません。2025年度に関しては、4月に同じ障がい者雇用専門部署である山形・東松島の2拠点に3名の方が新卒入社をされました。
<2025年度 DE&I合同入社式の模様>
Q. 就業されたスタッフが早期に退職されてしまうケースはありますか?
A. 過去のケースですが、もちろんありました。一方、他社での就業で継続が難しかった方が、当社で長期勤務されているケースもたくさんあります。求職者とのアンマッチは、私たち採用する企業側の意識の変化と工夫によって減らせると考え、取り組んでいます。事務サポートユニットでの採用基準は就業意欲と自己理解の2つのみです。「推し活のために稼ぎたい」という等身大の理由や「家計のため」「社会とつながりたい」などの理由に関わらず就業意欲があること、自分の障がい特性を受け入れ、自身の得意・不得意をしっかり企業に伝えられる自己理解があること。この2つがあればその後のサポートは私たちが引き受けられると感じています。
また、障がい者雇用専門部署への入社は求人サイト「ジョブミーツ」 やハローワークを通じて応募いただき、選考へ進んでいただいています。
■ ルーティンになりがちな業務でモチベーションを維持に関する質問
Q. 障がい者雇用に取り組む企業や部署で担う業務は比較的ルーティン業務が多く、勤務へのモチベーションが維持できているか心配です。工夫していることはありますか?
A. 事務サポートユニットの主な業務は、社内の事務・庶務業務の代行や印刷、社内便でその多くがルーティングで行っています。モチベーションの維持については、いくつか取り組みを行っており、ここでは3つ紹介します。
一つ目は、「業務習得一覧表」を活用し、習得の進捗を可視化。これに基づいて月に一度の定期面談を実施しています。面談では、本人が次に習得したい業務を自ら発信するよう促しており、自主的な成長を支援しています。進捗が可視化されていることで、自身の成長を実感しやすくなり、毎月の面談を楽しみにするようになっています。
二つ目は、会社の戦力として自信が持てるよう作業に対する精度にこだわりを持つことです。作業ミスが発生した際に「障がい者スタッフだから仕方ない」と思われないよう、すべての業務でダブルチェックを実施し、高い精度を目指しています。管理者含めすべてのスタッフがお互いのミスを指摘できる環境づくりを整備し、特定のミスが多いスタッフには個別フォローを行うなどの取り組みを行っています。
三つ目は、先輩スタッフが新人スタッフの育成を行う「チューター制度」の導入です。勤続年数が長くなるほどルーティン業務でのスキルアップや目標が見つけづらいため、新しい業務や役割を設け、挑戦したくなる環境を整備しました。自身の経験を活かし、新人スタッフの業務習得と会社生活のサポートを行うことで、先輩も成長を実感し、仲間から憧れの存在になっています。また、特定の業務だけを指導する「ジョブチューター」も導入し、中堅スタッフ向けに少しずつでも目に見えるスキルアップ施策も行っています。
<業務を教えるジョブチューターの様子>
Q. 他者と仕事の仕上がりを比較するケースがあります。どのように対応していますか?
A. 同時期に入社された方と自身を比較するケースはあります。その時には、誰かと自分を比べるのではなく、昨日、先月、去年の自分と比べて欲しいと伝えるようにしています。人によって得手不得手がありますし、これまでの社会経験の違いや個々の特性の違いもあります。比較してしまう気持ちは十分理解できますので、寄り添いながらも他者との比較は自分を苦しめることにつながりやすいと理解を促します。自分自身が確実に成長していると感じられるためには、過去の自分と比較してできることが増えていることを、本人と企業側の双方で認めていくことの繰り返しが大切だと思います。
アルティウスリンクは、今後もDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を推進するとともに、従業員の活躍や職場の取り組みを発信してまいります。