自己紹介
初めまして。エンジニアの研修を担当している継田です。
新卒・中途研修を行いつつ、研修に使うWindows PCの運用や、AWSにてeラーニングシステム(ETL)の
インフラ設計・構築・運用も担当しております。
プロジェクトの背景
2025年4月、私はある決意を胸にプロジェクトをスタートさせました。
それは、長年社内のeラーニング基盤として運用してきた保守性の低い
Bitnami版 Moodle からの脱却と、AWSネイティブな構成(CloudFormation管理)への
完全移行です。 私は新卒研修も担当しているため、全く動けない期間も重なり、
完成まで約7ヶ月。生成AIを相棒に走り抜けましたが、そこには「AIコーディング」ならではの
苦しみがありました。
旧環境の課題
- 課題:Bitnami版Moodleが抱えていた3つの限界
1.ブラックボックス化: Bitnami独自のディレクトリ構造や設定が複雑で、アップグレードやトラブルシュートが困難。
2.サポート期限: 利用していた Moodle 4.1 LTS のサポート期限が目前に迫っていた。
3.スケーラビリティ: DBが同居しているため、Webサーバーのみののスケールアウトや、
RDSのようなマネージドサービスへの移行が不可能だった。
モノリシックな旧環境。DBとアプリケーションが同居し、柔軟な運用が困難だった。
新アーキテクチャ(目指した姿)
- 目標: AWSベストプラクティスに準拠した新アーキテクチャ
最新の Moodle 4.5 LTSを採用し、AWSのベストプラクティスに近付けた構成へ。
AI活用(導入期)
- AIとの共闘のはじまり: Copilotを相棒に開発をスタート
開発はAI (Copilot) を活用して進めました。最初は順調そのもの。
「Moodle用のEC2とRDSのCFnテンプレートを書いて」と指示すれば、
80点の回答が即座に返ってきます。この時点では、AIは「魔法」だと思っていました。。。
AI活用(直面した壁)
- 最初の壁: テンプレートが肥大化し、AIの限界が見え始める
現象: トークン制限で会話が強制終了。AIは「記憶喪失」状態に。
1.コンテキストの消失: チャットが長くなると、初期の「命名規則」や「前提条件」を忘れ始める。
2.チャットの停止と断絶: 会話が突然停止。新しいチャットでは、全てを一から説明し直す必要があった。
3.無限説明ループ: 新しいチャットを開くたびに「今こういう構成を作っていて...」と説明する作業が頻繁に発生する。
AIのハルシネーション①
- AIのハルシネーション①: 平然と「それっぽい嘘」をつく
真実: Moodleのインストールプロセス上、クリーンなDBが必要なため、実際には削除
(または空にする)が必須でした。
AIの自信満々な情報を鵜呑みにすると、確実にエラーで詰むポイントでした。
AIのハルシネーション②
- AIのハルシネーション②: なぜか「ウザい」設定をデフォルトにしようとする
事例:AWS WAFのレートベースルールについて質問した際、AIは「5分経過すると再びCAPTCHAが表示される」という設定を提案。
なぜ自ら「ウザい」と認める設定を、あたかもデフォルトであるかのように提案してきたのかは謎です。
AIのハルシネーション③
- AIのハルシネーション③: 結局、頼りになるのは人間の経験と知識
事例:Gitの所有権エラー (Dubious ownership)が発生。最終的に原因を解説してくれましたが、直接的な解決策は提示できませんでした。
最終的に、root ユーザーではなく、ディレクトリの所有者である apache ユーザーでコマンドを実行(sudo -u apache ...) するというアプローチを導き出したのは、
人間の経験によるものです。
解決策(AIとの付き合い方)
AIと壁を乗り越える: AIは魔法ではない。時には泥臭いアプローチの積み重ねも必要。
成果物(IaC)
- IaC: 最終的にCloudFormationテンプレートは700行近くに
単純な構成かもしれませんが、VPC、EC2、ユーザーデータ (Moodle自動構築スクリプト)、ALB、RDS、IAMロールなど、インフラ全体をコード化した結果、
700行の規模になりました。これを一人で作成するのはかなり大変な作業ですが、AIを活用することで工数を大幅に削減できたのは非常に大きなメリットだと感じています。
得られた価値
AIとの苦闘(共闘)の果てに手に入れた3つの価値
結論
結論: AIは現段階では万能な「魔法」ではない
そしてAIは「優秀だが、忘れっぽい後輩」でもある。
この「泥臭さ」を、共に楽しめる仲間を探しています
私たちは、このような技術的な挑戦と、AIのような新しいツールとのリアルな格闘を
楽しめるエンジニアを探しています。
キラキラした成功事例だけでなく、その裏に
ある泥臭い試行錯誤のプロセスにこそ
エンジニアの価値があると信じています。
もしあなたが、この話に少しでもワクワク
したなら、ぜひ一度お話ししませんか。
次の設計図を、一緒に描きましょう。



