今年もアルティウスリンクの農産物栽培拠点「幸満つる 野蒜農園(さちみつる のびるのうえん)」で新入社員の宿泊研修を実施。基幹職の2か月にわたる新入社員研修の一環として行われ、当社の事業とダイバーシティへの理解を深める機会となっています。今年度は2泊3日で行われ、農作業体験のほか、仙台拠点のデスク見学も行われました。今回は幸満つる 野蒜農園での農作業体験を中心にご紹介します!
■ 東松島市に拠点を構える意義とは? 震災の記録と復興の歩みから考える
「幸満つる 野蒜農園」は、東日本大震災で甚大な被害を受けた東松島市の復興を支援するため震災跡地を開拓し、地元の障がいのある方々やアクティブシニアの方々を社員に迎え、農作物栽培などを行っている拠点です。
宿泊研修1日目。東京から東松島市を訪れた新入社員に、幸満つる 野蒜農園の溝江所長から拠点の説明がありました。農作物栽培を行うだけでなく、マルシェやスーパーでの販売、地域イベントの開催、他企業からの研修の受け入れなども積極的に行っており、障がいのある社員がさまざまな人と交流する機会を増やしているといいます。また、雇用を安定・拡大させるためには、事業として成り立たせることが重要であると考え、IoTやAIを活用したスマート農業を導入し作物の収穫量と品質アップを実現しています。これらの説明を聞き、慈善事業のように考えていた新入社員にとっては意外だったようで、改めて地域創生や障がい者雇用の意義を考えるきっかけになりました。
< 幸満つる 野蒜農園では社員の個性を尊重し、やりがいを持ち笑顔で活躍できる職場づくりを大切にしていると説明がありました >
続いて、幸満つる 野蒜農園のほど近くにある「東松島市震災復興伝承館」を見学。東日本大震災の被害記録と復興の歩みを後世に伝えるための施設となっており、数々の展示パネルや震災遺構、記録映像を見ることができます。被災時刻を指して止まった時計や、津波で壊れた旧野蒜駅の券売機などが展示され、被害の甚大さが物語られています。新入社員は真剣な面持ちで見学し、過去の教訓を胸に刻み、未来への備えを考える大切さを実感しました。
< 当時まだ幼かった新入社員たちは、東松島市震災復興伝承館の見学で震災による被害の甚大さを改めて感じました >
■ 事業所スタッフとコミュニケーションを取りながら農作業に挑戦!
2日目は農作業体験。外に出てまずはラジオ体操で体をほぐすことからスタート。その後、事業所スタッフに教えてもらいながら、野菜苗の定植や畝のマルチ張り、野菜の収穫などをしていきます。3チームそれぞれ日程をずらしての研修でしたが、いずれのチームもお天気に恵まれ、きれいな青空の下農作業を行うことができました!
< 清々しい青空の下、みんなで体操! ケガをしないためにも準備体操は大切です >
Aチームが担当したのは、ネギの苗の剪葉(せんよう)や馬鈴薯の芽かきなど。
ネギの剪葉とは、伸びた葉を均一に切り揃える作業のことで、苗が倒れないように、太くて丈夫なネギの苗を作ることができます。すくすく育った苗を切るのは忍びなく感じていた新入社員も、理由を聞いて納得。目盛りが書かれた尺板で長さを図り、基準から超えている葉をハサミでカットして高さを12cm~13cmに揃えていきました。
馬鈴薯の芽かきは、太くて丈夫な芽だけを2、3本残して他の芽を根元から取り除く作業です。生育が良くなり、収穫量20~30%アップが期待できます。事業所スタッフにコツを教わって、新入社員も芽かきに挑戦。残す芽を傷つけないように気を付け、茎の地ぎわを片手で押さえて、取りたい芽を横に引っ張って抜いていきました。
< ネギの苗剪葉や馬鈴薯の芽かきのほか、カボチャの作付のために畝を作りマルチ張りもしました >
Bチームが行ったのは、マルチ張りとトウモロコシやカボチャ類の定植。
レーキや鍬で畝を整えてから、マルチシートを張っていきます。長いマルチシートをシワがよらないようにピンと張るのは、見た目以上に難しい作業。マルチの上から畝に等間隔で定植用の穴をあける作業には、ホーラー(穴あけ器)が大活躍しました。今まで使ったこともない農具に戸惑う新入社員に、事業所スタッフが優しく使い方を教えます。農作業を通して、コミュニケーションもどんどん広がっていきました。
トウモロコシやカボチャなどの夏野菜の定植では、ポットに入った苗を優しく取り出し、一つひとつ丁寧に植穴に植えていきます。定植したカボチャは5種類! コリンキー(サラダカボチャ)に、バターナッツカボチャ、白爵南瓜(白皮栗カボチャ)、 紅爵(赤皮栗カボチャ)、ズッキーニといったたくさんの種類のカボチャを栽培していることに新入社員も驚いていました。
< マルチ張りに定植、暑さと腰の痛みに負けじとがんばりました! タマネギの収穫も体験! >
Cチームもカボチャや夏野菜の定植とマルチ張り、タマネギの収穫に挑戦!
長ネギのように見える葉を引き抜くと、その先についているのは丸々としたタマネギ。養水分をたっぷり含んだ新鮮なタマネギはずっしりと重く美味しそうですが、いったん畑に並べて天日干ししてから、葉や根を切り落とします。普段から良く食べる馴染みのあるお野菜ですが、栽培方法や収穫後の作業など知らないことがたくさん。
鍬やレーキで畝を作ってマルチシートを張ったり、夏野菜の苗を植えたり、美味しい野菜を作るためには毎日やるべきことがあれこれあります。実際に「農作業を体験して食べ物のありがたみを感じた!」という声が新入社員から上がりました。
< 丸々としたタマネギを収穫! 苗を定植したら、元気に育つように想いを込めて優しく水をかけました >
朝から協力して行った農作業も終わり、お待ちかねの夕食タイム! 強い日差しの中での慣れない農作業にみんな汗だくでしたが、その分、食事も美味しくいただけたようです。
3日目は、仙台拠点を見学して東京に戻ります。東北支社の支店長から東北エリアの説明や仙台拠点のセンターの説明や新卒入社で現在仙台拠点のデスクで働く先輩との座談会などがあり、仙台拠点の社員とも交流を図ることができました。
< 農作業する上空をブルーインパルスが横切りました! 働いた後はみんなで楽しく乾杯~★ 最終日には仙台拠点も訪問! >
■ 宿泊研修での体験を活かしチームで社会貢献活動を提案!
宿泊合宿の前から、「アルティウスリンクができる社会貢献活動を考える」という課題が与えられていた新入社員たち。東京に戻ったら、さっそくチームで話し合って提案内容をまとめていきます。宿泊合宿を通して事前の想定と異なることがわかり、急きょ方向性を変えたチームもあり、修正力が試されることに。メンバーと協力して資料をまとめ、チームごとに提案発表を行いました。
幸満つる 野蒜農園のスタッフが新しい業務を行うことでやりがいを感じ、人との交流を増やすことを目的に「キッチンカーでのスムージー販売」を提案したチームに、震災により現在は1戸の農家でしか栽培していない「東松島のブランド米『かぐや姫』の栽培・販売」をすることで地域創生を目指すといった提案をしたチーム。どちらも東松島市のことをよく調べ、数字的根拠を提示するなどしながら提案していました。
< 資料作成やプレゼンテーションスキルもアップし、他チームからの質問にも的確に応じていました >
中には、アルティウスリンクの従業員数の多さを活かし、各拠点で「プルタブを回収し東松島市に車いすを寄付」するという提案をしたチームもありました。社内便やサークル活動の補助金システムなどを活用して経費をかけない回収方法を取り入れており、持続可能な活動となっています。社内規定を調べて活用するだけでなく、社内外への広報活動などについても考えられており、具体的な運用まで練られた提案となっていました。
< プルタブ回収箱を仮設置しどれくらい回収できるか試すなど、綿密に計画された提案でした! >
あっと言う間の宿泊研修と提案発表でしたが、実際に体験して初めてわかることも多くあり、密度の濃い学びの時間となったようです。
新入社員研修はまだまだ続きます。次回は、新入社員研修レポートvol.3として、配属直前の成果発表会の様子をお届けします。ぜひ、そちらもご覧ください。
■ 「幸満つる 野蒜農園」の農作業体験、企業見学について
「幸満つる 野蒜農園」は、東日本大震災で大津波被害を受けた宮城県東松島市にある野蒜(のびる)にあります。『笑顔と、一つひとつの「つながり」を大切に、積極的にチャレンジ』をスローガンに、地元の障がいのある方々、アクティブシニアの方々を社員に迎えた雇用創出と、無農薬にこだわった農産物栽培や、地域活性化、緑化再生などさまざまな取り組みを通じて、復興支援の想いをカタチにする地方創生に貢献しています。
「ノウフク連携の現場を見てみたい」「身体・知的・精神のさまざまな特性のある社員が一同に活躍できている職場は珍しい、工夫を知りたい」「企業での一般就労、正社員雇用について詳しく知りたい」というリクエストをいただき、これまでに50社以上の企業様が見学にお越しいただいています。
見学を検討されている場合には、ぜひご相談ください。(ご相談窓口:hms-saiyo@altius-link.com)
アルティウスリンクは、豊かなコミュニケーション社会の実現を目指すSDGs活動として、障がい者雇用と地方創生を通じた東松島市の自然再生・まちづくりに取り組んでおります。