近年、多くの企業がお客様の声(VOC)を収集し、マーケティングや商品開発、顧客体験の向上に活用しようと取り組んでいます。一方で、データは蓄積されているものの、「どこに改善のヒントがあるのか分からない」「分析結果を具体的な施策や事業成長につなげきれていない」といった課題を抱えるケースも少なくありません。
アルティウスリンクでは「Total CX² Design Company」というビジョンのもと、注力領域のひとつであるカスタマーサクセス(CS)の観点から、BPOだけでなく、企業の成長を支援するサービスやソリューションの創出・提供を進めています。収集したお客様の声から、いったいどのように改善点や潜在ニーズ(インサイト)を引き出し、企業支援へとつなげていくのか。今回は、お客様の声を価値あるインサイトへ変換するデータ分析サービス「Altius ONE Data Platform VOX(以下、VOX)」を手掛ける次世代事業創造部に、その考え方や取り組みについて話を聞きました。
- 顧客接点から新たな価値を生み出す、次世代事業創造部のミッション
- ステップゼロから伴走する、VOC活用の土台づくり
- お客様の声を事業成長につなげる「VOX」
- コンタクトセンター運営で培った「改善の勘所」が、分析の価値を高める
- 分析結果を「使われる」状態にするためのUI設計
- お客様の声を、企業成長を支える資産へ

次世代事業創造部 部長
前田 主税
BPO業界で20年以上にわたり、多業界のコンタクトセンター運営やDX・データ活用推進、新規事業、海外プロジェクトなどに従事。アルティウスリンク入社後は、経営戦略統括本部や法人統括本部を経て次世代事業創造部にて、AIを軸としたデータ活用プラットフォームやデータマーケティング領域を中心に新規事業の企画・構築・運用を担当している。

次世代事業創造部事業創造ユニット
上宮田 彩弥
2020年に新卒入社。法人営業、営業企画を経験後、2024年から次世代事業創造部に従事。現在は、「Altius ONE Data Platform VOX」の提案・運用支援を担当し、顧客理解や事業課題の解決に向けたデータ活用を支援。
顧客接点から新たな価値を生み出す、次世代事業創造部のミッション
現在、多くの企業が人手不足やコスト削減、生成AIの活用といった大きな変化に直面しています。私たち次世代事業創造部は、こうした環境変化に対してアジャイルに新たなサービスを創出し、お客様企業の事業課題解決につなげていくことを大きなミッションとしています。その中でも、いま特に注力しているのが、顧客接点に蓄積されるVOC(お客様の声)をどのように活用し、企業の事業課題の解決やマーケティングに結びつけていくかというテーマです。
VOC分析というと、テキストデータを集めて分類する取り組みをイメージされるかもしれませんが、本当に重要なのは、分析結果から何を読み取り、どのような改善や次のアクションにつなげるかです。
アルティウスリンクでは、長年にわたりコンタクトセンター運営やVOC分析、業務改善に携わってきました。顧客接点の最前線で得られる声を把握するとともに、BPO事業を通じて企業の業務課題解決にも取り組んできた経験があります。そのため、単にデータを可視化するだけではなく、「この声はどの業務課題につながっているのか」「この不満の背景にはどのような顧客体験上の課題があるのか」といった背景まで踏まえて分析し、具体的な改善アクションにつなげられることが強みだと考えています。

実際に多くの企業と話していると、VOC活用の状況は、大きく3つのケースに分かれると感じています。1つ目は、すでにVOCデータを活用する一方で、さらにコンタクトセンターに集まる声を活かしたいというケース、2つ目はVOCの収集・分析はしているが、結果をどのように施策につなげるか課題を感じているケース、3つ目はこれからデータの収集・分析の仕組みを整えようとしているケースです。

企業によって、事業・商材の特性も、顧客接点の持ち方も、データ活用の目的も異なります。だからこそ私たちは、お客様企業の現在地に合わせて、VOC活用の設計から分析、施策への落とし込みまで伴走しながら、柔軟に支援していくことを大切にしています。
ステップゼロから伴走する、VOC活用の土台づくり

その伴走の最初のステップになるのが、お客様の声を収集し、分析や活用につなげられる状態に整えることです。私は主にお客様のVOCデータをどう収集・分析し、施策に活かしていくかという運用部分を担当していますが、VOCと一口に言っても、そのデータの種類はさまざまです。コンタクトセンターに集まるお問合せデータもあれば、レビューサイトの書き込みデータ、アンケートの回答、SNSへの投稿など、お客様の声はさまざまな顧客接点に分散しています。
そのため、まずは各接点に存在する声を整理し、横断的に分析できる状態を整えることが重要です。どれだけ多くの声があっても、それぞれが別々の場所に置かれたままではお客様の声の全体像を捉えることが難しくなります。複数の接点を横断して見ることで、ひとつのデータだけでは見えにくかった傾向や課題も捉えやすくなり、顧客理解の幅も広がります。
こうした土台づくりにあたっては、どのデータを集め、どのように整理し、どのような形で分析・可視化していくのかを、お客様企業の目的に合わせて設計することが大切です。すでにあるデータを整えるだけでなく、目的に応じて、どの接点から新たに声を取得していくべきかまで考える。このステップゼロの段階から伴走できることも、私たちの強みです。

実際にどのようなデータを集めるべきかは、業界や商材によって大きく異なります。たとえば、ECサイト上で多くの口コミが集まる商品であれば、オンライン上のレビューを活用しやすい。一方で、生命保険のような金融商材では、オンライン上に口コミがほとんどないケースもあります。その場合、より重要になるのが、コンタクトセンターに蓄積されている声です。オンライン上の声だけでは見えにくいものを、オフラインの顧客接点からどう捉え、分析できるデータとして整えていくか。ここも、VOC活用を考えるうえで重要なテーマになっています。
お客様の声を事業成長につなげる「VOX」

こうしたVOCデータ活用を支えるサービスのひとつが、データ分析サービス「Altius ONE Data Platform VOX」です。VOXでは生成AIを活用し、コンタクトセンターに寄せられるお問合せの応対記録だけでなく、ECサイトの口コミレビュー、アンケートの回答、SNSや外部サイトの声など、さまざまなお客様の声を収集・構造化し、企業ごとの目的に応じた評価軸で可視化していきます。
VOXの企画が誕生した背景には、入電件数や応対履歴などのデータと、実際のお客様の声を紐づけて見たいというニーズがありました。従来の分析では、お問合せの量や分類は把握できても、その背景にある不満や期待、業務課題とのつながりまでは見えにくいというケースもありましたが、VOXでは、そうした入電データとVOCを結びつけながら、施策検討に活かしやすい形で可視化できます。
また、生成AIを活用したVOC分析に取り組む企業も増えていますが、実運用に耐えうる分析環境を自社で整えるには、専門人材の確保や相応の時間、コストが必要です。VOXでは、VOC分析に必要な環境をあらかじめ構造化することで、集めた声をどのような観点で読み解き、どのように施策へつなげるのか、ということに注力しやすくなっています。
たとえば、あるメーカーの新商品発売前に、VOXでSNSやECサイトに寄せられた競合商品のレビューを分析し、ターゲット層に響くキーワードの抽出を支援した事例がありました。発売後には、新商品に関するレビューをもとに、商品コンセプトが狙い通りに伝わっているかを確認。実際のお客様の声を分析することで、広告表現の伝わり方や、企業側が想定していた商品イメージと生活者側の受け取り方にズレがないかなどの分析をサポートしました。
このように、VOCは商品改善だけでなく、マーケティング施策や販売促進、コミュニケーション設計にも活用できます。重要なのは、お客様の声を集めること自体ではなく、何を見たいのか、どのような示唆を得たいのか、どの部門でどう活かすのかをあらかじめ設計することです。VOXは、設計した目的に合わせてVOCを収集・構造化し、マーケティングや商品改善、顧客体験の向上に活かしやすい形で可視化する分析環境を、お客様企業の目的に合わせて構築します。

コンタクトセンター運営で培った「改善の勘所」が、分析の価値を高める
お客様の声を集約し、分析できる状態に整えたとしても、それだけで十分とは限りません。次に必要になるのは、その声の中にある本音や背景を読み解き、施策に活かせる示唆へと変えていくことです。
たとえば、同じ「不満」の声であっても、価格に対する不満なのか、説明のわかりにくさに対する不満なのか、その背景にある理由は一つではありません。単語の出現数や表面的な分類だけでは、お客様がなぜそう感じたのかまでは捉えきれない場合があるため、そこで重要になるのが、文脈分析です。
この文脈分析に生成AIを利用するうえで大切なのは、AIによる要約と、VOC分析は必ずしも同じではないということです。コンタクトセンターでは、オペレーター業務の効率化の一環として、すでに応対後の記録作成をAIで自動要約する取り組みも進んでいますが、マーケティングデータとしてお客様の声を読み解く場合には、要約された記録だけでは拾いきれない情報があります。応対記録はあくまで業務上必要な内容を整理したものですが、実際の会話の中では、お客様の言葉に含まれる不満や期待、迷いが存在しているからです。
VOXでは、要約された記録だけに頼るのではなく、お客様の発言を最初から最後まで全文・原文ベースで分析することを重視しています。記録には残っていない声を拾い、過去数年分のデータを新たな評価軸で見直せる点も、VOXの特徴のひとつです。
また、VOC分析では、AIや分析ツールだけでなく、分析結果をどう解釈し、どの改善につなげるかという人の知見も重要になります。アルティウスリンクは、これまで多くの企業のコンタクトセンター運営を支援する中で、お問合せが増える背景や、顧客の不満が生まれるポイント、応対品質や導線改善につながる兆しなど、顧客接点の現場で知見を蓄積してきました。
こうした知見があるからこそ、お客様の声を単に「ポジティブ」「ネガティブ」と分類するだけでなく、その声がどの業務プロセスに関係しているのか、どの顧客接点を見直すべきなのか、どの部門と連携すべきなのかまで踏み込んで考えることができます。世の中にはSNS分析やレビュー分析、アンケート分析を行うサービスが数多くありますが、顧客接点の現場を知り、そして分析結果を実際の改善アクションにつなげられることが、私たちの強みだと考えています。

分析結果を「使われる」状態にするためのUI設計
また、VOC分析で重要なのは、分析結果を可視化することだけではありません。その結果が継続的に社内で確認され、次の判断や施策に活かされ続ける状態をつくることです。最初は明確な目的を持って取り組みを開始しても、画面が見づらい、操作しづらいなど、必要な情報にたどり着きにくい状態では、せっかく用意した分析環境が形骸化し、日々の業務の中で使われにくくなってしまいます。

VOXでは、継続的な利用を促進するために、専門部署だけが使う分析画面ではなく、新卒の方から20年目のベテラン社員まで、継続して使いやすい操作感を目指しました。VOCを活用する部門が広がるほど、見るべき情報も変わります。カスタマーサポート部門が見たいものと、マーケティング部門、商品開発部門、経営層が見たいものは同じではありません。そのため、使う人の目的に応じて評価軸を複数設けたり、最初に表示するレポート画面を初期設計したりなど、権限設定によって利用者が見たい画面にすぐにアクセスできることも重視しました。
いかにお客様企業にとって使い続けやすい環境を整えられるか。その視点も、私たちがVOC活用の定着を支援するうえで大切にしていることのひとつです。
お客様の声を、企業成長を支える資産へ
さらに、VOC活用で重要なのは、分析結果をレポートにしてまとめて終わりにしないことです。分析で見えてきたことを、次の顧客接点にどう反映するか。ここに、コンタクトセンターを運営しているアルティウスリンクならではの強みがあります。たとえば、レポート結果から「こういう声をもっと拾いたい」という次の打ち手が見えてきたとします。そのとき、コンタクトセンターの現場にすぐ連携できれば、オペレーターがすぐに追加で確認する項目を変えたり、お客様に追加で質問を加えたりすることができます。
次に取得するVOCデータの質や深さを変えたいときに、運用側へすぐ反映できる。この点が、分析とコンタクトセンター運営の両方を担っている会社であることの大きな強みだと考えています。
VOXは、こうした強みを活かしながら、顧客接点に蓄積される声を事業課題の解決やマーケティングに活かすための選択肢のひとつです。VOXにとどまらず、私たちが目指しているのは、カスタマーサポートの領域だけでなく、顧客接点のデータを企業の事業課題解決や販売促進、マーケティングに活かしていくことです。VOC活用を一度きりの分析で終わらせるのではなく、現場と施策をつなぐ循環として育てていく。その積み重ねによってお客様の声を事業成長につながる資産へと変え、カスタマーサクセスの取り組みを広げていきたいと考えています。
