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CX²-CC|顧客接点の価値最大化

住民サービス向上と職員の業務負担軽減を両立 自治体DXを支える「デジタル行政BPOサービス」が目指す姿

  • 社会課題解決
  • 顧客体験
  • AI活用

窓口での待ち時間や、手続きのたびに必要となる情報の記入など、「行政手続きがもっと便利になれば」と思ったことがある方も少なくないのではないでしょうか。こうした住民からの期待がある一方で、自治体では職員の確保が難しくなる中、高齢者へのサポートや外国人住民への多言語対応、新たな制度への対応など、求められる役割が広がり続けています。住民サービスの向上と限られた人員での運営をどう両立するのか。多くの自治体がその課題に直面しています。

こうした課題に対し、アルティウスリンクでは、「Total CX² Design Company」というビジョンのもと、住民にとって利用しやすく、職員にとっても持続的に運営しやすい行政サービスの実現を目指し、生成AIやDXを活用した「デジタル行政BPOサービス」の取り組みを進めてきました。

そこではどんな支援が行われ、自治体や住民にどのような変化をもたらしているのでしょうか。官公庁・自治体分野を統括する吉良に、自治体の現場で起きている課題やアルティウスリンクの取り組み、そしてそこから目指す行政サービスの姿について話を聞きました。

吉良 知則のプロフィール画像

CX²営業統括本部 第5営業本部 本部長

吉良 知則

2000年に入社後、大手通信企業向けの営業を担当。2014年から官公庁・自治体分野に携わり、現在は自治体DXや行政サービス改革に関する事業を統括。コンタクトセンターやバックオフィス運営の知見を活かし、デジタル技術とBPOを組み合わせた新たな行政サービスの実現に取り組んでいる。

広がる自治体の役割と、自治体DXが求められる背景

吉良
吉良

私たちの部署では、主に官公庁や自治体向けの支援を担当しています。現在、自治体が抱える大きな課題のひとつだと感じているのが、自治体職員の人材不足です。それに加えて、高齢者へのサポートや、多言語での対応が必要な外国人住民への支援、制度改正への対応など、行政に求められる役割も広がっています。

また、人口減少に伴って、行政サービスのニーズが縮小するわけではありません。一人ひとりの状況に応じた、よりきめ細かな対応が求められる場面が増えるなど、今まで以上にサービスの質も求められています。限られた人員で、そのような住民のニーズにどう応えていくのか。これが、今後の自治体運営における重要な課題だと考えています。

こうした状況を踏まえると、今後重要になってくるのが、すべての業務をこれまでと同じように人が担い続けるのではなく、定型的な業務にはデジタルやBPOを活用し、人は個別相談や判断を伴う業務、住民支援や地域課題への対応など、人だからこそできる仕事に力を注げる体制にシフトしていくことです。

限られた人員でも、質の高い行政サービスを継続できる仕組みをつくる。そこに自治体DXが求められる大きな理由があると考えています。

住民と職員の双方を支える「デジタル行政BPOサービス」

吉良
吉良

こうした課題に対し、私たちが推進しているのが「デジタル行政BPOサービス」です。

これまで官公庁や自治体分野で培ってきたコンタクトセンターや窓口、バックオフィスなどの運営ノウハウに、各種DXサービスや生成AIを組み合わせ、行政手続きや業務プロセスそのものを見直していく取り組みとしてスタートしました。

具体的な取り組みの一つが「来庁者リモートサポート」です。来庁者はタブレットやロボット型デバイスなどを通じて、遠隔地にいるオペレーターから案内や手続きのサポートを受けることができます。特に外国語対応など、専門人材の確保が難しい場面でも、複数の自治体を横断して支援できる仕組みとして活用が期待されています。

来庁者リモートサポート利用イメージ
吉良
吉良

もう一つが、コンタクトセンターにおけるAIの活用です。AIが一次受付を担い、必要に応じて有人対応につなぐことで、電話が集中する時間帯や閉庁後の問合せにも対応できる体制づくりを進めています。

コンタクトセンターでのAI活用事例
吉良
吉良

このように、デジタル技術とコンタクトセンターや窓口運営で培った運用ノウハウを組み合わせることで、住民の利便性を高めながら、自治体職員の負担も軽減することを目指しています。

ただ、こうした仕組みは導入して終わりというものではありません。私たちは、これまでの業務をそのままデジタルに置き換えるのではなく、住民や自治体職員の声を踏まえながら、本当に利用しやすく、持続的に運営できる仕組みをつくることが重要だと考えています。

そのため、決められた業務を正確に運営するだけでなく、日々の運用を通じて見えてきた課題を自治体の皆様と共有しながら、改善を重ねていくことも大事です。実際の現場でどのように使われているのかを見ながら、より利用しやすく、継続して運営できる形へと一緒に改善しています。そうしたところまで含めて支援していくことが、私たちの役割だと考えています。

住民や自治体のニーズを起点としたサービス開発へ

吉良
吉良

こうした考え方の背景には、私自身がこれまでさまざまな部門を経験し、サービス開発に携わる中で重ねてきた、いくつかの試行錯誤があります。当時は、その時々のトレンドや技術動向を踏まえながら、新たな価値を提供できるサービスをつくろうと取り組んでいましたが、思うように利用が広がらず、試してみて終わってしまうことが少なくありませんでした。

なぜ、良いと思ってつくったサービスが使われないのか。振り返ってみると、企画する側の「これをやりたい」「こういうサービスなら良さそうだ」という発想が先に立ち、実際に利用する方が「何を求めているのか」という視点が十分ではなかったのだと思います。

そこで、自分たちがつくりたいものを起点にする「プロダクトアウト」ではなく、まずはクライアントや利用者のニーズを捉え、本当に利用価値を感じていただけるサービスを考える「マーケットイン」の考え方へと、サービスづくりの発想を切り替えました。

2023年の経営統合後には、この考え方のもとで具体的なサービス開発につなげる動きが本格化しました。社内で議論を重ねる中で、デジタルを主軸にした行政サービスの基盤をつくる方針が明確になり、部門横断のワーキンググループも発足。そこから現在の「デジタル行政BPOサービス」につながる、さまざまなサービスの開発が進んでいきました。

吉良
吉良

自治体向けのサービスでも、この考え方は変わりません。自治体や住民の皆様がどのような課題を抱え、何を必要としているのか。そこを起点に、必要とされるサービスを考えることを大切にしています。

例えば、来庁者リモートサポートでは、モニターを設置して待っているだけでは、デジタル機器に慣れていない方が利用をためらい、なかなか活用につながりませんでした。そこで、対面での案内と同じように、オペレーター側から「何かお困りですか」と声をかけることでコミュニケーションを始めるなど、実際に利用する方がどこで不安を感じ、何を必要としているかを見極めながら、安心して利用できる形へと改善していきました。

コンタクトセンターにおける生成AI活用事例では、利用者の利便性向上と誤案内防止の両立を重視しています。まずはAIオペレーターの回答範囲を限定し、複雑な問合せは有人対応につなぐ運用からスタートしました。その後も、利用状況や対話内容を分析しながら音声案内を見直し、利用者が迷いにくく、安心して利用できるサービスになるよう継続的に取り組みを進めています。

このように新しい技術だからといって一律に利用するのではなく、住民の皆様が実際にどのように利用し、どこに不便を感じているのかを見ながら改善していく。デジタルを活用することで便利になる部分を増やしながらも、個々の状況に応じたきめ細かな対応が必要な場面では、最後は人が支える。新しい技術を導入すること自体を目的にするのではなく、実際に利用する方の声を起点に、人とデジタルを適切に組み合わせていくことが大切だと考えています。

現場の理解から定着までを実現するサービス設計

吉良
吉良

このマーケットインのサービスづくりを支えているのが、さまざまな業務の場面で上がってくる現場の声です。

コンタクトセンターや窓口の最前線では、日々お客様と接しているスタッフだからこそ、「この方はここで困っている」「今の仕組みでは十分にサポートできない」と気づく瞬間があります。そうした現場の声が自然と上がり、管理者が拾い上げ、業務改善や新たな企画提案へとつなげていく。その積み重ねが、私たちのサービスづくりの土台になっています。

先ほど触れた新サービスのワーキンググループでも、営業部門だけではなく、実際に自治体業務を担う運用部門のメンバーも加わり、現場で感じている課題や住民の皆様の声を持ち寄りながら、サービス内容を検討しました。そこに技術部門や外部パートナーの知見も組み合わせることで、現場の気づきを具体的なサービスへとつなげています。

こうした「現場で働く人の視点を大切にする」という姿勢は、新しいシステムの導入やDXを進める際にも変わりません。

新しい仕組みを取り入れるために、業務フローを変更する場面があります。実際に働く方がそうした変化に戸惑いや抵抗を感じ、現場に定着しないケースも少なくありません。

そこでアルティウスリンクでは、まず現状を可視化し、新しい仕組みを導入すると業務がどう変わるのか、職員の負担がどう軽減され、住民の皆様へのサービスがどう改善されるのかという「あるべき姿」を具体的に描くことを大切にしています。

現在の姿と目指す姿を職員の皆様と共有し、一緒に描きながら、新しい運用へとつなげていく。このように現場の声を捉え、業務を設計し、実際の運用へ定着させるところまで支援できることが、私たちの強みだと考えています。

個別の業務改善から、行政サービス全体の最適化へ

吉良
吉良

今後は、こうした現場起点の改善を、個々の窓口やサービスだけにとどめず、行政手続き全体へと広げていきたいと考えています。

その一環として進めているのが、「自治体手続きトータルDX」です。住民の皆様が手続きを行う窓口やオンライン申請といったフロントから、その後の審査や登録を行うバックオフィスまで、一連の手続きを一体的に捉え、支援していくことを目指しています。

行政手続きは、窓口だけ、あるいはバックオフィスだけを改善すれば完結するものではありません。住民の方が申請し、その情報が処理され、結果が返ってくるまでが一つの流れです。その全体を見渡して業務を見直すことで、部分的な効率化の積み重ねではなく、行政サービス全体の最適化につなげていきたいと考えています。

さらに今後は、住民向けの手続きだけでなく、2026年6月に発表した「年末調整業務AIサポート」をはじめとする、総務や人事など、自治体内部の事務領域についても支援の範囲を広げ、自治体全体の持続的な運営を支えていきたいと考えています。

これからの社会では、自治体職員だけでなく、私たちのようなBPO事業者にとっても、人材不足は避けて通れない課題です。だからこそ、人が担うべき業務とデジタルで支えられる業務を整理し、それぞれの自治体の規模や地域特性に合わせながら、限られた人員でも質の高い行政サービスを継続できる、新しい運営モデルをつくっていく必要があります。

目指しているのは、個々の業務を効率化することだけではありません。住民の皆様や現場で働く皆様の声に耳を傾けながら、行政サービスの在り方そのものを一緒に考え、変えていく。そして、年齢やデジタルへの習熟度、置かれている状況に関わらず、「誰一人取り残さない」行政サービスを実現していきたいと考えています。