当社では、従業員一人ひとりが安心して働き続けられる環境づくりに向け、メンタルヘルス対策を継続的に推進しています。その取り組みの一つとして、外部講師を招いて管理職を対象としたラインケア研修を実施しました。本研修では、部下の変化にいち早く気づき、適切な対応や関係機関への連携につなげるための基本的な考え方を学習。140名以上の管理職が参加し、講義に加え、具体的な場面を想定したグループワークを通じて、現場で活かせる知識と視点を深めました。
< 講師として株式会社ジャパンEAPシステムズ 中島諒子様(写真中央)にお越しいただきました >
■企業としてのメンタルヘルス対策の必要性とは? 人的損失を考える
前回のメンタルヘルスセミナーセルフケア研修には250名以上の従業員が参加し、一人ひとりが自身によるストレスマネジメントの重要性を学びました。セルフケアと共に大切なのが、周囲からのサポートです。今回のラインケア研修は、管理職を対象とし、部下の変化にいち早く気づき、適切な対応や支援につなげるための基礎を学ぶことを目的として実施しました。
研修の冒頭では、人事マネジメント本部 本部長の穴田より、企業として従業員の安全と健康を守る責務と、その中で管理職が果たすべき役割について説明がありました。現場で従業員一人ひとりがより良い成果を出していくためには、日々部下と接する管理職が、早期に変化を捉え対応していくことが重要です。
また、従業員が体調不良や不安を抱えたまま働くことで生産性が低下する「プレゼンティーズム」による人的損失は非常に大きく、欠勤・休職による稼働損失や退職者補充に伴う採用・育成コストも合わせると、当社の損失概算額は相当な額にのぼる可能性があります。
こうした背景から、管理職の「気づく力」「声をかけ聴く力」「判断する力」「適切につなぐ力」を高め、組織全体で社員の健康を支える基盤づくりを進めていくことを目指し、本研修が行われました。
< 人事マネジメント本部長 穴田より開催目的を共有 >
■事例性と疾病性の2つの視点を知り、ラインケアの4ステップで考える
研修の前半では、ラインケアを実践するうえで土台となる、メンタルヘルスの基本的な考え方について学びました。
職場におけるメンタルヘルス対策は、従業員の安全・健康を守るだけでなく、業務の安定や生産性の維持の観点からも重要な取り組みです。その中で管理職には、部下の変化に気づき、適切に対応し、必要に応じて専門家につなげる役割が求められます。
研修ではまず、「事例性」と「疾病性」という2つの視点について説明がありました。
「疾病性」はストレス性疾患など医学的な症状に関することを指し、「事例性」は遅刻やミスの増加、パフォーマンスの低下、コミュニケーションの変化といった仕事上で見える変化のことを指します。
< 株式会社ジャパンEAPシステムズ様のラインケア研修資料より「問題をとらえる2つの視点:事例性と疾病性」 >
こうした考え方を踏まえ、ラインケアの基本として、以下の4つのステップが紹介されました。
<ステップ1:サインに気づく>
管理職として大切なのは、「病気かどうか」を判断することではなく、仕事上の変化=事例性に注目し、「いつもと違う」サインに気づくこと。そのためにも、日頃から部下の様子や働きぶりを把握しておくことが重要です。
<ステップ2:声をかける>
日常の延長線上で継続して声をかけることが、早期の気づきや予防につながります。「心配している」「気にかけている」という姿勢で接することで、相手も何かあったときに相談しやすくなります。
<ステップ3:話を聴く>
相手が安心して話せるよう、途中で遮ったり、否定したりせず、まずは聴くことに集中。管理職として支援や対応を検討するためにも、「仕事上でどのような困りごとがあるのか」を中心に整理しながら聴いていきます。メンタル不調の多くは不眠から始まることが多いため、体調や睡眠状況についても確認し、次のステップにつなげます。
<ステップ4:自分で扱える範囲を判断する>
仕事量の調整や人間関係の調整など、管理職の裁量で対応できる範囲なのかを判断します。判断が難しい場合や医療機関の受診を含め専門的な対応が必要な場合には、人事や産業保健スタッフ、EAPなどの専門家と連携することが重要です。また、社内関係者と連携する際は、部下にあらかじめ了承を得ること、そして後日のフィードバックを約束することもポイントです。
管理職が一人で抱え込まず、組織として支援していくことが、適切なラインケアにつながるといった説明がありました。
< ライン長だからこそセルフケアも重要! 自身のストレスチェックも実施しました >
■管理職として何をどう対応すべきかグループワークで、実践的な考えを深める
研修の後半では、3~4名に分かれてグループワークを実施。
業務の進捗遅延やミスの増加、報告・連絡の減少といった変化が見られる部下の事例をもとに、部下の状況に応じて管理者はどのような対応を行うべきか意見交換を行いました。
異動後、1年が経ち初めてプロジェクトの主担当になったという設定では、各グループから「異動という大きな変化があったときは定期的な状況確認が必要」、「初めてのプロジェクトなので、その目的や何を期待しているのかを丁寧に伝えておくことも大切」といった意見が聞かれました。
また、徐々にミスが増え、報連相も途絶えがちになるという「事例性」が出てきたときに、どう声をかけるべきか、どのタイミングで専門家に相談すべきかなどについても話し合い、さまざまな視点から管理職としてのケアについて考えを深められたようです。
< グループでディスカッションすることで、具体的な対応への考えが深まりました >
講師から、ラインケアの4ステップに加え、第0のステップとして「こまめなフィードバックと承認でコミュニケーションを補填」することが予防につながると伝えられ、参加者は改めてコミュニケーションの大切さを感じました。
また、配慮が必要な場合でもできることとできないことを明確に区別し、業務軽減する場合も期間を設けることも、組織全体の健康度を高め、パフォーマンスを向上させるためには重要です。「ルール」と「愛情」との2本柱で対応することがラインケアの要でもあるとのことでした。
参加者からは、今回の研修を通し、
- サインに早めに気づけるよう、日常的なコミュニケーションが何より大切だと感じた。
- 何かあった際は何でも一人で解決しようとせず、自分でできる範囲を判断し、周りと連携して対応していきたい。
- メンタルケアは必要だが必要以上な配慮は特別扱いになってしまうということを知り勉強になった。
といった声が上がりました。
今回のラインケア研修を通じて、管理職が部下の変化に気づき、適切な対応や支援につなげていくことの重要性を改めて確認する機会になりました。メンタルヘルス対策は、個人のセルフケアだけでなく、管理職による日常的な関わりや、組織としての支援体制が一体となって機能することで成り立ちます。
当社では今後も、社員一人ひとりが安心して働き続けられる環境づくりに向けて、メンタルヘルスに関する取り組みを継続してまいります。

